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2008年 08月 17日
昨日、ある方のご厚意で京都の「五山の送り火」を観る機会に恵まれました。 20時の「大」の字点火ぎりぎりに見物場所に着いたのですが、点火直後から鎮火までの一部始終を目にすることができました。左大文字・「妙」・「法」の一部も拝めたので満足です。 写真を撮れなかったのは残念でした。申し訳ないのですが、MSNニュースさんの写真を紹介させていただきます。 http://sankei.jp.msn.com/photos/life/trend/080816/trd0808162339010-p1.jpg 鎮火とともに、私の心の中に巣喰っていた汚れまくって爛れた煩悩が、「大」の字の鎮火とともに天に還って行き、心が浄化されたような気になりました。 なので、今日は仕事の合間に心洗われる読書をしていました。 『さよなら絶望先生』第16話サブタイトル「民さんはいっぱいいっぱいな人だ」の元ネタ「民さんは野菊のような人だ」が含まれている、伊藤左千夫の『野菊の墓』です。 以下、長くなったので折り畳みます。 文庫本やらあらすじを紹介するのは当たり前すぎるので、ここは月刊『りぼん』昭和48年11月号付録の別冊漫画『野菊の墓』を紹介します。←「オバサンホイホイ」と言うべからず! 妙齢の人間の童心を擽ると言って下さい、頼みます…… 絵は南部ひろみ先生。堂々100ページに及ぶきちんとした漫画化で、ちゃんと元ネタに当たる部分も漫画になっています。 年に一度はふとこのふろく冊子を手にする機会があります。そうして、ピュアでリリカルなな心に触れ、つい涙したりすることも……大事に大事に読んでいたつもりですが、表紙などにシミができてしまいました……この付録シリーズが何かの単行本に収録されていればありがたいのですが。 『野菊の墓』は各社の文庫本になっているほか、青空文庫でも読むことができます。 青空文庫『野菊の墓』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000058/card647.html 15歳の政夫と17歳の民子。互いに好もしく思っているのですが、それを許す環境ではないようです。そういう文脈で、元ネタが含まれている部分をやや長めに引用しておきます。(16話サブタイトルの元ネタにあたる部分は太字にします) ========== 民子の美しい手で持ってると銀杏の葉も殊に綺麗に見える。二人は坂を降りてようやく窮屈な場所から広場へ出た気になった。今日は大いそぎで棉を採り片付け、さんざん面白いことをして遊ぼうなどと相談しながら歩く。道の真中は乾いているが、両側の田についている所は、露にしとしとに濡れて、いろいろの草が花を開いてる。タウコギは末枯れて、水蕎麦蓼など一番多く繁っている。都草も黄色く花が見える。野菊がよろよろと咲いている。民さんこれ野菊がと僕は吾知らず足を留めたけれど、民子は聞えないのかさっさと先へゆく。僕は一寸脇へ物を置いて、野菊の花を一握り採った。 民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻ってきた。 「民さんはそんなに戻ってきないッたって僕が行くものを……」 「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」 「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」 「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」 「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」 民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。 「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」 「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」 「それで政夫さんは野菊が好きだって……」 「僕大好きさ」 民子はこれからはあなたが先になってと云いながら、自らは後になった。今の偶然に起った簡単な問答は、お互の胸に強く有意味に感じた。民子もそう思った事はその素振りで解る。ここまで話が迫ると、もうその先を言い出すことは出来ない。話は一寸途切れてしまった。========== この中に二人の現在の関係が示唆され、将来の悲劇的な結末が暗示されているように思います。 集英社の文学本といえば、去年・今年と純文学文庫本の表紙に自社の超人気漫画家の先生の手による絵を採用して話題になり、実際に売り上げも伸びたと聞いています。(去年の『人間失格』、今年の『伊豆の踊り子』など) そうした趣向は突然出てきたわけではなく、このように何十年も前から地道な種蒔き作業をしてきた上に成り立っていたんだな、と思う次第です。 P.S. 実は、この『りぼん』の付録「別冊名作シリーズ」は、これが第二弾です(第一弾は、同年の10月号で、三島由紀夫の『潮騒』を金子節子先生が漫画化されました)。次に出たのが、昭和48年12月号で、ささやななえ先生が樋口一葉の「たけくらべ」を漫画化したものです。が、これがどこをどう探しても見つかりません。今現在も第三弾・第一弾ともに熱烈探索中です。(別に、一旧さんに似た人が出ているからではありません)
by herolynQ
| 2008-08-17 22:29
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