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2008年 10月 30日
今年夏(2008年7月)に『「自分だまし」の心理学』(祥伝社新書、780円+税)という本が出ています。
著者は認知心理学がご専門の菊池聡さん。この本の中で、久米田康治先生の『さよなら絶望先生』が紹介されています。 紹介されているのは、同書第三章「誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする」の一節です(104頁)。 日常社会では、ほんの少しだけ情報を歪めて解釈し、自己の中に取り込むことによって、同じことをまったく正反対に捉えることすらできる、という文脈のあとで、こんな具合に紹介されています。 ========== 『さよなら 絶望先生』【スペース原文ママ】という久米田康治氏の傑作マンガをご存じでしょうか? 主人公の糸色望(糸と色を横書きで読んでみてください)は、物事をなんでもネガティブにしかとらえられない男です。何かというと、「絶望した!」が口癖です。そんな彼が、物事を何でもポジティブにしかとらえられない少女と出会う屈指の名シーンから物語は始まります。 この二人は同じものを見ていながら、全く逆にとらえます。絶望先生から見ると粘着質のストーカーに見える男【原文ママ】が、少女にはまっすぐで一途な純愛と見えます。以下、ことごとく、「いらない人間」は「フリーエージェント」に、「気持ち悪いもの」は「キモカワイイ」に。先生が絶望のあまり首を吊ろうとすると、あまつさえ、少女には身長を伸ばそうとしていたように見えるのです。世の中をクリティカルに考えようという志向のある人にはたまらないマンガと思いますが……まあ、ちょっと極端なので、一般的な例も挙げましょう。 ========== 第一集だけでなく、後の巻も読んでおられることが分かる文ですね。(1箇所だけおやおやという部分がありますが) その後、同じ章で国、民族、集団による自己奉仕バイアスの相違を紹介した後、こんな一節があります。(137~138頁;太字は引用者) ========== 日米中三ヵ国の高校生約三四〇〇名を対象に行われた調査でも、これらの国の若者の自尊感情の違いがはっきりと示されています。たとえば「私は他人に劣らず価値のある人間である」という質問に肯定的に答えた高校生は、アメリカで八九%、中国では九六%だったのに対し、日本ではわずか三八%でした。 (中略) 逆に、「自分にはあまり誇りに思えるようなことはない」アメリカ二四%、中国二三%、日本五三%となっています。 こうした調査がニュースで取り上げられるときは、たいていは自分の未来や能力に自信を見いだせない日本の若者の姿、という文脈になりますあね。そこから、現代の日本社会が格差社会になって若者の希望や自尊心をいかにスポイルしているのか、と論を進めるのが、おなじみの展開です。 絶望先生なら「日本の将来に絶望した!」と叫ぶところでしょうが、見方を変えればアメリカ人や中国人は明らかに自信過剰だと読むことができないでしょうか。 ========== 前書きの冒頭によれば、この本の目標は、 「情報を適切に判断して活用する能力を「情報リテラシー(読み書き)能力と呼びますが、いわば「だましのリテラシー」を身につけ」 ることです。 心のうちにある「だまし――だまされる」システムを紹介したあと、さまざまなキーワード・具体例を散りばめながら論が進められていきます。「抑うつスキーマ」「うつの現実主義(リアリズム)」「ポジティブ・イリュージョン」「カクテルパーティー効果」「イリュージョン・オブ・コントロール(統制感の幻想)」、「自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス」など、いずれ「さよなら絶望先生」の本編中に登場しそうなキーワードが分かりやすく紹介されています。具体例を読みながら、「あ、これはカフカちゃん」「あ、これは千里ちゃん」などとおなじみの絶望ガールズに当てはめながら考えるのも一興かと。 最後の第六章「おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ」では、こんな一節もあります(226頁)。プロレスファンになってからのファンの成長振りを描く文脈で: ========== 誰もが、最初はプロレスの子どもだましにだまされて、成長すれば仕掛けを見破ってだまされないようになる、これが第一段階です。ここで卒業せずに、積極的にだまされに行き、その世界の魅力をより深く知ることができるようになる。そして、あえてだまされる自分と、それを含めたすべてを俯瞰する自分を意識し、コントロールすることができるようになる。これこそが、プロレスに限ることなく、アクティブな「おたく」の、そして「だましリテラシー」の達人のたどる成長の道のりだと思っています。 ========== 「絶望先生」の「大人だまし」の回で、万世橋君が「あえてだまされにいっているのです」と達観した様子で語っていたのを思い起こさせる文です。 とすると、「おたく」を極めれば、「だましのリテラシー」を身につけることができる!?
by herolynQ
| 2008-10-30 18:45
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